ラクダ使い体験記

幼児期にはいろんな体験をすると、将来すばらしい花が咲くと
信じて、子育てしている皆様に娘の体験記パート2をお届けします。

長女がなぜラクダに魅せられてのか?

とりあえず読んでみてください。





ラクダって見れば見るほど可愛いと思いません?

今でもラクダのことを考えると、涙が出そうになる。
こんな新鮮な気持ち、最近忘れていたような気がする。
でも、世の中で一番恐ろしくて手に負えないのもラクダだと思う。

その牧場は観光牧場だったので、お客さんが来たら
馬もしくはラクダに乗せて先導するというのが私の仕事でした。

馬はもちろん一人ずつ(一頭ずつ)で、スタッフは馬に乗って先導するわけです。
しかし、ラクダは違う。
ラクダは3頭なり4頭をつないで、スタッフは先頭のラクダに乗って行くわけです。
いわゆる「ラクダ使い」として。

ということは、つながれたラクダのうち1頭でも暴れたらどうなるか・・・
それは想像にお任せします。


それは、天気の悪い、ある木曜日。
その日は夜に、ラクダパーティもあって、とても忙しい日でした。
まだ私がラクダ使いとしてデビューして間もなかった頃です。
なんだかイヤーな予感はしていたのですが、私はラクダを3頭つなぎ
日本人観光客2名とオークランド人夫婦を乗せて、出発したのです。

片言の英語で営業をしながら。
「見て!カンガルー」
「わー、ほんとだー」
「・・・・・」(終了)

まぁ、そんな感じで、ラクダ2時間ツアーは始まったのですが、
なんと突然、一番後ろのラクダ(cool)のサドルがずれてしまった。
「わー」と言う声で私が振り返ったときには、すでに日本人観光客は落ラクダ。

ここまでは、まぁ、たまにあること(オーストラリアでは)。

まぁ、もう一回乗せればいっかーという感じなんですが
そのずれたサドルが気に入らないのか痛いのかcoolが暴れ出した!
暴れるとなおさらずれて、またさらに暴れるという悪循環。

もちろん3頭つながれているので、全ラクダがジャンプし始めた。
私と、オークランド人の夫は何とかラクダから飛び降りたものの
立ち上がった私が見たものは、奥さん一人を乗せて走って逃げていく3頭のラクダ・・・

夢なら覚めて欲しい、神様。

お客さんを助けなくては!ということで、オークランド人(夫)と一緒に走って追いかけました。
何とか女性が下りたと思ったら(私ではなく、旦那さんが助けてくれた)
サドルがずれたうえに暴れたため、ロープがcoolの首に絡まり痙攣状態!
チアノーゼ!呼吸停止!

私も獣医のハシクレ、まさかここでラクダを死なすわけにもいかん。
何かしなくては!

まず、気管挿管!と考えた私。
でもこんな山の中に気管チューブがあるわけがない。
自分で自分に突っこみながら、ロープをほどこうと試みる。
でも、ほどけない!
coolはもう動かない。
オークランド(夫)も手伝ってくれるが、ほどけない。
その上、前2頭のラクダもパニックで暴れる。


何分たったのか、全く覚えていません。
どうやってほどいたのか、それともサドルが壊れたのか全く覚えていないのですが
首のロープが少しゆるまった。

でも、coolはぴたりとも動かない・・・
前の2頭は山の中へ逃げていく・・・
今夜、ラクダパーティがあるのに・・・

ラクダパーティとはラクダのレンタルで、その夜はラクダたちを街まで
連れて行かなくてはならなかったのです。

というわけで、私は山にラクダを探しに行きました。
「おーい、戻ってきてー」
しかし、ラクダに日本語は全く通じず。

どのくらい歩いたか、突然私の目の前に一頭のラクダが!
なんとcool!
生き返ったのかおまえ!
感動もむなしく、coolは私に一撃を食らわせ、また山の中に走り去っていったのでした。



結局その後、私はこってり叱られ(でも英語だからよく分からない~)
いつの間にか帰ってきていたラクダ2頭を連れて
ラクダパーティに出かけたわけです。

coolは、結局帰ってこず。
パーティは無事終了、深夜に皆でビールを飲んで解散したのです。



その夜、オーナーに聞きました。
 「ラクダから落ちない方法は?」

答えは一言。
 「乗らないことだ。」とのこと。



翌朝、coolは戻って来ていました。
痙攣していたことなんて嘘のように、けろっとして
「はっちゃん、ごはーん」(と私には聞こえる)と甘えていた(と私には見える)。

その後もたまに暴れることがあったcoolでしたが
すべてはあの時、脳が酸素欠乏状態に陥った結果の脳障害だと思って
すべてを許せる私でした。


そんなわけで、どうです? ラクダ。
他にも、鼻ピアスを開けたり、お産を手伝ったり、投げ輪を投げたりといろいろしました。

というわけです。 らくだ!

今はせっせとバイトをして、チベット人のお店で売っていた
ラクダモービルを買うために貯金している私です。


ちなみにオーストラリアのラクダは1コブ。
なぜなら、昔、アフガニスタンから輸入されたから。
コブラクダは中央アジアにしか生息していないそうです。
ラクダ一口メモでした。

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               これがうわさのラクダツアーです。





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               かわいいCOOLです。