休館発表に驚きと寂しさを感じ

 東京のJR御茶ノ水駅から、神保町に向かって坂を下る途中の、明治大学のキャンパスの間にある小さな坂道を少し上がったところに山の上ホテルがあります。山の上ホテル川端康成三島由紀夫池波正太郎などの多くの文豪が好んで利用していたホテルだと言われています。昔、幼稚園協会の研修委員長をしていた時、私もこのホテルに泊まりたくって、研修会場から離れていても電車を乗り換えて、このホテルに魅せられ宿泊を楽しんでいました。

このホテルが、2月13日から休館すると報道があり、最後にもう一回行きたかったなぁと残念に思っています。

 

山の上ホテル (C) 東龍

 

 丘の上に立つ個性的なアール・デコ様式の建物

は、アメリカ人建築家、ウィリアム・メレル・

ヴォーリズが設計したものでした。

ヴォーリズは日本で多くの西洋建築を残していま

す。金沢にもいくつかのヴォーリズの建築が残っ

いるので、出かけると山の上ホテルに懐かしさ

感じます。

 

 ヴォーリズは英国教師として来日し、日本各地

で教会、学校、病院、住宅、YMCAなど、西洋建

築の設計を数多く手がけ、1941(昭和16)年に

日本に帰化したと言われています。

 

山の上ホテルは、もともとホテルとして設計され

おらず、35ある客室は同じ間取りではありま

ん。部屋ごとに異なる特注の家具を配置し、庭

有無しや窓の方角によってカーテンや壁の色も

えるなど、部屋ごとに異なる雰囲気が楽しめる

うにしてあるので、泊まる時にはどんな出合

いがあるかとワクワクした事を覚えています。

どの部屋でも、机の上にばらが一輪飾られている

のが嬉しく心が和んだ事を思い出します

 

ホテルは西洋料理のほか和食、中華、鉄板焼

ぷらなど、ジャンルに富んでおり、創業者の食

対するこだわりを感ずることができ、「食の山

の上」とも呼ばれるように、一流のシェフが担

していたので、宿泊も楽しいけど、食事が最高

の楽しみでした。私は天ぷらとプリンアラモード

がお気に入りでした。食いしん坊なので、休館に

なる前に、全て食べておけば良かったと後悔して

います。