天ぷらを揚げながら

先生たちと森の幼稚園の下調べに、少年の森に出かけました。

熊野さんの運転するバナナ号で坂道をドンドン登っていくと、まだところどころに雪が残っていました。

先生たちで山菜をいろいろあつめ、山の炊事場でてんぷらをあげました。

炊事場はまだ閉鎖中でしたから、コンロや、なべはもとより、水も運びました。


小麦粉に運んできた水を混ぜて山菜に衣をつけてあげました。

先生たちの集めてきた、取り立てのフキノトウや、こごみの天ぷらのほろ苦さは、春の味覚ですから、

美味しいこと、ついつい手が出てしまいました。

おそばさんでいただく山菜、料理屋さんでいただく山菜天ぷらとも違い、

揚げたての山菜はどれも最高においしく、寒さに冷え切っていた体がホカホカになりました。。

何より、食欲旺盛な先生たちのお腹を満たすためには、あたりを歩くと食材がすぐ手に入り、

集め放題というのは最高にうれしく、楽しいことでした。

昔はこんな生活が当たり前だったなぁと回想できるのは私だけ?


若い人たちのバーベキューは、食材も町のスーパーで仕入れ運んでいる時代ですから

山の身近にあるものを食べる経験は感動そのものだったようです。


私は天ぷらを揚げながら、子育てをしていたころ、子どもたちが火傷をしないように、

台所に柵をしながら天ぷらを揚げていた頃を懐かしく思い出していました。

そんな回想をしながら、天ぷらを揚げている私の姿をみて

『主婦ですね!そんな姿始めて!』と先生たちがじーっと私と見ていました。

「もちろん!15年間専業主婦業をしていたんです」と大手を振って威張りたいのですが

そんなことを言われるというのは、今は面影がないからかもしれません。


最後に、天ぷらの衣の残りに砂糖を混ぜて、油で揚げ先生たちにあげると

『美味しい!美味しい!」と大好評でした。

天ぷらの後にできるドーナツもどき、我が家の子どもたちの大好物でしたから・・・・・。


「先生主婦みたいですね!」とまたまた先生たちに言われました。

 私ってそんなに面影がないんでしょうか?