『わたしもおんなじだから』

園庭の隅っこで、3歳児がおもちゃの取り合いを始めました。2人は「ぼくの!」と大声でおもちゃを引っ張り合っています。

 

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2人の声を聞いて、最初は同じクラスの子どもが近づいて来ましたが、しばらく見ていてどこかに行ってしまいました。

ゆり組(年長組)さんが近づいて2人の様子を見ています。

 

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年長組Yちゃんが「ほしいんだよね。かわりばんこにしたら。」と言いましたが、小さな声だったので、2人は聞こえなかったのか、聞きたくなかったのか、更に大きな声を上げて取り合いをしています。

 

先生たちが、いざという時に止めることができるように、あちこちから見ています。

私も滑り台に乗ってみようとそばを通ったら「園長先生に言うから!」

「いえいえ、私はその取り合いには関係しないわ」とアイメッセーイジで答え、邪魔しないように移動しました。

 

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それでも2人は睨み合いです。

 

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二階から同じクラスの子どもがじーっと見ています。
年長組の子どもはただ見ていました。

「もう!見てるだけで何にも発しない年長組さん!」と園長少々期待はずれにヤキモキしていました。

 

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N君がどこかに行ってしまいました。

 

年長組の子どもたちが話し始めました。

「おんなじものもってきたらどうかなぁ。」

「もうあっちにないよ。」

「……。」

 

Aちゃんが玩具が置いてあるところに走っていきました。

 

 

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Aちゃんが何も持たずに戻ってきました。

 

N君がよそに行ったのではなく、同じものを探し回っていたようで、戻って来た時には、2人が取り合っているものと同じおもちゃを手に持っていました。

そのおもちゃを二人に渡すと、あっさりと受け取りました。

 

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今までの取り合いが嘘のように、それを持って別のところに行ってしまいました。その様子をN君がじっと見ていました。

 

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2人は友だちのところに行って、今までのことを話したり、部品を付け替えて車で走り出したリしていました。

 

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さっきの2人は、お餅つきの時になんにもなかったように手を握りあっていました。


取り合いは相手の大事と自分の大事をぶつけているだけで、大人が忍耐するとこんな素晴らしい解決策を見ることができるのですね。

 

ギャラリーで見ている子どもたちも、見られている2人も思いっきり自分の想いを出している場面に出会い感動、最高の収穫感謝でした。

 

どうしても私たちは危ないからと、大人目線になって解決策を急ぎますが、ギャラリーの子どもたちはぶつかり合っている2人の気持ちに共感し、どうしたら良いか考えていることが分かりました。

 

2人に小さい声で「変わりばんこにしたら」と言ったYちゃんが、「私もお兄ちゃんと、いつもおんなじケンカしてるから」と話してくれました。

子どもたちはしっかり自己分析をしているんですね。

『園長 脱帽です』