ごんぎつね

娚杉少年の森に川遊びで出かけた日、近くに狐が出てきました。

子どもたちの様子をじっと見ているようで、のんびり穴掘りまではじめました。

そのさまを見ていると私の好きな新見南吉の「ごんぎつね」の話が思い出されました。

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ごんぎつね   新見南吉

中山の近くの山中に「ごんぎつね」という狐がいた。ごんはひとりぼっちだったが、
畑を掘り散したり、つるしてあるとうがらしをむしりとったりと、たいそういたずら好きな狐だった。
ある日、ごんは川で網をはって魚をとっている兵十を見かけ、
こっそり魚籠に入れてある魚を逃がしはじめる。

最後にうなぎを逃がそうとした所で兵十に見つかり、首にまきつけたまま逃げ出した。

十日ほどたって、兵十の母親が死んだ事を知ったごんは、一人ぼっちになってしまった
兵十に自分と同じ憐れみを持つと同時に、
兵十の母親はきっと最後にうなぎを食べたかったに違いないと思い、
自分のしたいたずらを後悔する。

その後ごんは山の中でとれた栗やキノコをこっそり兵十の家に届け始めた。
兵十は誰がくれたのかむろん分からない。
いつも届けられる栗やキノコは神様がくれたと思いはじめた兵十に
ごんは少し不満を感じたりもしたが、ごんはいつものように栗を届けに行った。
しかし、ごんがこっそり入ってきた事に気付いた兵十に火縄銃で撃たれてしまう。

ごんを撃って近づいた兵十は土間に置かれた栗に気付きびっくりする。

「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」

ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずいた。
兵十は火縄銃をばたりととり落した。青い煙が、まだ筒口から細く出ていた。