好きなお家って?

幼稚園の玄関で、秋を感ずる虫の鳴き声が響いています。例年ご近所の方が子どもたちのためにもってきてくれます。スズムシは左右のまえばねをピンと立てて開き、その根元に近い部分をこすり合わせて「リーン」と鳴いているそうです。一回鳴くのにはねを40回以上動かしているそうです。

 

 

スズムシの鳴き声はオスがメスに対してアピールするためなので、オスだけが鳴いているそうです。(鈴虫の鳴き声が電話を通して聞くことができないと言われています。スズムシの鳴き声の周波数は3500~4500ヘルツで、電話で伝送できる音の周波数は300~3400ヘルツで、電話は人の声を基準に作られているからです。人間が出せる高音域が虫の声ほど高くないから、電話でスズムシの鳴き声を聞かせようとしても聞こえないようです。でも、最近の高性能スマートフォンでは高い周波数の音を伝えるものがあるそうです。好奇心旺盛な園長、実験しょうと思います。)

 

生き物に様々な住処があることから、「私たちにどんなお家があると素敵かな」と話しながら絵を描いています。

 

動くりんごのいえ、猫のような家、カラフルなボールのある家、雲の上にある家、どんぐりのような家、虹の家、土の穴の家、クレヨンのお家、テレビがいっぱいある家、お花の家、様々な発想の家を描き始めました。

 

H君が絵を描いているとき、どこからかトンボがスタッフルームに入ってきて飛んでいました。その内にトンボが扇風機に触れ床に落ちてきました。H君は恐る恐るトンボをつかまえました(人生初!の経験でした)しばらく、大事そうに羽根をつかんでいましたが、しばらくしてお庭に逃がしてあげていました。

 

今まで猫のような家を描いていたH君が、急にトンボを描き始めました。

「今度はオニヤンマを捕まえたい!」と言いながらオニヤンマも描き始めました。

 

「ちょうちょも。ダンゴムシも。テントウムシも。蝉もトカゲも。かえるも来るお家」

猫のようなお家はたくさんの生き物たちが楽しく住むお家になりました。H君のトンボとの出会いと捕まえた自信が描かれました。

 

おまけ

私は子ども達と一緒に絵を描いていますが、上手に描くために指導するというより、その子の発達に合わせて援助するようにしています。

絵の描き方は算数や国語の様に正解はありませんから、それぞれの子どもの絵を個性としてとらえ、描こうとしている絵の内容をくみ取るように努力しています。子どものおしゃべりを聞きながら「何を現したいのだろう?」と耳を傾けると、「上手ね!」とただほめるより子どもが意欲的に描くようになります。そのチャンスに出会うのが楽しくって、子どもとの時間を割くことはできません。